地球儀の太平洋の真中(経度180度線上)には北極から南極にかけて日付変更線というものが引かれている。それを見ると、何かの本で「船でここを通過するときは東から西へ行くときは日付を一つ進め、西から東へ行くときは一つ戻す必要がある。」と初めて読んだときのことを思い出す。そのときはそんなものかと思っただけだったが、私はあとになって混乱した。 もし日付変更線が北極と南極を通り過ぎて向こう側まで延びて地球を一周しているのなら簡単だ。こっち半分が5日で、こっちが4日だ。だが線は地球の半分にしか引いてない。で、その理由がよく分からない・・・ 実は私にとっては「まず日付変更線ありき」で考えていたのが良くなかったのだ。本当はなぜそんなものが必要なのか、そんなものはなくてもいいじゃないか、という素直な?疑問から始めるべきだったのである。日付変更線を越えたら日付を変える、なんてめんどくさいことをする必要はないじゃないか、日付なんて自然に移っていくもので人間が操作するものじゃないよと。 それでは日付は、自然のメカニズムとしては、どう移っていくのだろうか。それは深夜の0時に動く。いま深夜の0時である地点ではいま日付が変わっているのである。巨視的に見れば、地球の、いま太陽に照らされていない半球の、太陽とは真反対に当たる地域、北極から南極に亘る縦の線上の地域ではいま深夜0時なのである。そして世界はその線を境界に東と西では日付が異なるのである。下は地球を北極上空から見た図である。 ←東・西→ さあ、ここまで来れば、最初と同じ質問が出てくる。その深夜0時の線の東側はどこまで5日で、西側はどこまで4日なのか。 と、つまりこうして、人為的な日付変更線が必要になったのである。 地球上の日付は、常に地球を巡っている言わば自然の日付変更線(深夜0時の線)と、太平洋上に設定されている人為的な日付変更線の2本によって区切られている。 いま日本(赤丸)は正午である。ブラジルは深夜0時で、日付が変わった瞬間である。 その3時間後には 日付変更線が0時の線に重なって4日の領域がなくなり、全世界が5日の領域に入る。この瞬間から日付変更線の西には新たに6日の領域が現れ始め、3時間後(最初から12時間後)には 太陽はブラジル上空。日本は深夜0時。日付変更線の西は西太平洋から日本まで6日であり、日付変更線の東は東太平洋、アメリカ、ヨーロッパ、アジアまでぐるっと5日である。 ※地球を固定して考えるなら、太陽の動きに伴って0時の線が西へ西へと前日の領域を食って行くことになる。 では連続的に眺めてみよう。
(動かない場合はブラウザの ← ボタンで戻ってから → ボタンで帰って下さい。) さて、太平洋という巨大な人口空白地帯は日付変更線が設定される格好の位置だった。 図上に見える日付変更線の曲がりは、ロシア東端チュコト半島の陸上分断を避ける部分と米国領アリューシャン列島を一日に包括するための部分である。
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