光速で動くものを実際に目で見てみたい。 長い長い棒を振り回してその先端を見るというのは最初から無理そうなので却下。 では懐中電灯を振り回して壁に当たった光を素早く動かすというのを応用してみよう。 今、空一面に垂れ込めた雲に強力なサーチライトを当てて素早く動かすとする。雲の高さは1キロメートル。サーチライトは東の水平線から西の水平線までグッと0.1秒間で操作する(頑張る)。 一応見えたものとして、では速さはどれぐらいだったろう。端から端まで見える範囲の距離はせいぜい200キロ余りだ。面倒だから単純に平均ということにして秒速2,000キロちょいだ。0.01秒で操作しても20,000キロだ。0.001秒で(無理だ)。 では別のシチュエーションを考える。 ジェット機が時速1,080キロ(秒速0.3キロ)で水平に飛んでいる。地上の影も1,080キロで走っている。その影が超高層ビルに差し掛かったら、影はビルの壁をスッと昇る。 図の斜めの線は太陽光線の向きである。(分かりやすく、太陽が真上を通る熱帯地方としよう。) ジェット機と地上の影の速度は秒速0.3キロである。光速の秒速30万キロに達するには100万倍する必要がある。つまりabの長さに対してビルの高さが100万倍とならなければならない。そうなるためには太陽光線がどんな角度であればよいのか。 それはbの内角θについて、tanθ=1,000,000が成り立てばよいのである。 計算。 結果。θ≒89.999942704221° それは太陽が真上に来る何秒前か。0.01375秒前である。 その土地の正確なローカル時で午前11時59分59秒98625以降に正確に東から西へ水平に飛ぶ時速1,080キロ以上のジェット機の影が垂直な壁面を上昇するときにその影を観察しよう。それが光速もしくはそれ以上である。 ええっ? ということは、サーチライトの例もジェット機の影の例も条件さえ整えば光速の壁は超えられるということなのかっ!?
例えばアニメーション画像というものを考えてみよう。あたかも物が動いているように見えるが実はいかなる物体(スクリーンや画面の原子)も動いているわけではなくて、次々と別の位置が光るのを我々が同一の物が動いていると錯覚しているのがアニメーションなのである。とすれば、上の二つの例は雲や壁面に映ったアニメーションなのであった。
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