「歴史的仮名遣い」とは 大昔の日本人はどんな言葉を使っていたのでしょう。
そうですね。大昔もやはり同じ日本語を使っていました。
ですから「山」のことは「山」と言い、「川」のことは「川」と言っていました。同じ日本語ですから当たり前です。
でも発音は今とは少し違っているところがありました。
「山」は「やま」と言っていましたが、「川」は「かは」と言っていたのです。その「かは」が長い間に今のように「かわ」と変わって来たのですね。
そうすると、大昔の人は「川」のことを「かは」と書いたのでしょうか。
はい、その通りです。
もう一つ例を挙げましょう。
大昔は「見る」は「みる」と言いましたが、「居る」は「うぃる」と言っていました。その「うぃる」が長い間に今のように「いる」と変わって来たのですね。
そうすると、大昔の人は「居る」を「うぃる」と書いたのでしょうか。
いや、ちょっと違います。昔は「ゐる」と書いたのです。この「ゐ」という字が「うぃ」と読まれていたのです。
上の「かは」や「ゐる」のように、日本語の仮名を大昔と同じように書く書き方を「歴史的仮名遣い」といいます。
その書き方は大昔からつい最近の20世紀中ほどまで続きました。
ただし、歴史的仮名遣いで書かれた文でも、江戸時代ごろからは今と同じ発音で読むようになりました。
ことばというものは日々変化し続けるものだから書き方も昔通りではなく新しく変えていくのが当たり前だという人がいますが、ほんとにそうでしょうか。
もしも書き方をどんどん変えていったら、誰もがその時代の文章なら分かるけれど昔の文章になると何が書いてあるのかさっぱり分からないという困ったことになってしまいます。
昔通りの書き方をずっと伝えていくことはとても大切なことなのです。