補講107教室

特別授業:古文・文語文の動詞を分かりやすく読むには

●動詞の「〜あふ 〜かふ ・・・」の類は古文・文語文である場合にはふつうは末尾を長音化転呼して〜オー 〜コー ・・・と読みます。これは近代以前(江戸時代)に行はれてゐた標準的な読み方を引き継がうといふ、明治以来の伝統的な考へ方によるものです。
 しかし、これらを判りやすいやうにと現代標準語(いはゆる「共通語」)的に(動詞末を長音化転呼せずに)〜アウ 〜カウ ・・・と読むことが間違ひになるわけではありません。古文や文語文に慣れてゐない人に聞かせる場合にはよく行はれます。
 ただちよつと気を付けることがあります。

 「さうら(候)ふ」について見てみませう。
 この語は文語文において「見知り候ふ」「〜にて候ふ」などと補助動詞的によく使はれます。当然長音化転呼して「〜ソーロー」と読むことになりますが、これを判りやすいやうにと末尾を長音化転呼せずに「〜ソーラウ」と読むのはどうでせうか。
 この場合は現代語には「そうらう」といふ語はありませんから却つて耳慣れないことになります。専ら古文・文語文においてのみ使用され、かつよく知られた補助動詞の「候ふ」はあくまで「〜ソーロー」と読むのが分かりやすいでせう。

 似たものに「たま(給・賜)ふ」があります。
 この語も補助動詞としてはタモーの方が分かりやすいでせう。

●「うれ(憂)ふ」について
 原則的には長音化転呼してウリョーと読むわけですが、それでは理解されないと思はれるときにはウレウが推奨されます。


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