補講204教室
特別授業:完全発音式仮名遣ひ(完全表音式仮名遣ひ)について
「完全発音式仮名遣ひ」を「現代仮名遣ひ」との違ひで説明すると、
1.「ワ」と発音するものは助詞を含めすべて「わ」と書く。
2.「エ」と発音するものは助詞を含めすべて「え」と書く。
3.「オ」と発音するものは助詞を含めすべて「お」と書く。
4.「オー、コー、・・」と発音するものはすべて「おお、こお、・・」と書く。
5.「エー、ケー、・・」と発音するものはすべて「ええ、けえ、・・」と書く。
6.「言ふ」を「ゆう」と書く。
7.「キョー、ショー、・・」と発音するものはすべて「きょお、しょお、・・」と書く。
8.「ジ」と発音するものはすべて「じ」と書く。
9.「ズ」と発音するものはすべて「ず」と書く。といふことになります。
もし将来、完全発音式仮名遣ひが行なはれるやうになるとすると、その時には「現代仮名遣ひ」は歴史的仮名遣ひにしてはをかしいし、発音式でもないし、なんと中途半端なものだらうと受け取られることになるでせう。そしてひよつとすると昭和・平成・令和時代の著作はこぞつて歴史的仮名遣ひか発音式仮名遣ひかどちらかに書き改められて刊行されるやうになるかもしれないと考へることもできます。
原文 「必ずしもそういう意味ではないかもしれない。」
彼は後ろへ注意を向けたままそっと口を開いた。この作品が古典文学全集に収録された場合
「必ずしもさういふ意味ではないかもしれない。」
彼は後ろへ注意を向けたままそつと口を開いた。この作品が時代を越えて読み継がれ、大衆文学作品として刊行された場合
「必ずしもそおゆう意味でわないかもしれない。」
彼は後ろえ注意お向けたままそっと口お開いた。戯れにもう一つ想像してみませう。
西暦2500年のある図書館。 古典文学全集「20〜21世紀巻」巻末付録より抜粋。
古典作品における若干の語法についての注意 昭和時代の作品に見られる例
「ちがふよ。馬鹿ぢやない?」
「〜ぢやない?」わ「〜でわないの(ですか)?」の略。昭和から平成にかけて盛んに使われた。原文の仮名遣いわ『現代仮名遣い』による「ちがうよ。馬鹿じゃない?」
平成・令和時代の作品に見られる例
「ちげえよ。馬鹿ぢやね?」
「ちげえよ」わ「ちがうよ」の転訛(訛り)。「〜ぢやね?」わ「〜だね」でわなく「〜でわない(のですか)?」の縮約。いずれも平成から令和にかけて行われ、まもなく廃れた。原文の仮名遣いわ『現代仮名遣い』による「ちげえよ。馬鹿じゃね?」
※この古典文学全集でわ『完全仮名遣い』の定められた21世紀中葉お境とし、それ以前の作品の本文テキストわすべて『歴史的仮名遣い』に改めてあります。