補講403教室
特別授業:文体と仮名遣ひについて
日本語の文章を口語体か文語体かで二つに分け、また歴史的仮名遣ひか現代仮名遣ひかで二つに分けると、それらの機械的組合せは次の4つになります。
1.口語・歴史的仮名
2.口語・現代仮名
3.文語・歴史的仮名
4.文語・現代仮名
しかしこのうちの4.は「現代仮名遣ひ」の自らについての規定―「現代語の音韻に従ひ、現代の口語に適用される。」―によつて否定されるので、結局実際に使はれるべきは1.2.3.の三つといふことになります。
もし今、この4.を許したとしませう。すると我々は
「如何にいます父母」
「故郷を出ず」などの表記の真意を自信を持つて判断することができないといふ状況を招くことになります。
「如何にいます父母」 (4.であれば「居ます」か「在(いま)す」か分らない。)
「故郷を出ず」 (「出(で)ず」を1.や2.で書いたのか「出(い)づ」を4.で書いたのか分らない。)(ただしこの4.の非規範的組合せは古文や文語文をひとまづ子供などが読めるやうに示すときの方便として使はれてをり、またそれが非規範的であることが忘れられて一般化する傾向にもあります。)