補講409教室

特別授業:「てふてふ」の発音について

「てふ」は漢字の「蝶」の発音を日本人が仮名で表したものです。
もともとは原音([diep]のやうな音)をまねて「テプ」のやうに発音したでせうが、ひらがなが出来たころには発音省力化で「テフ」と発音してゐましたので「てふ」と書いたのです。

その後発音が更なる省力化で江戸時代までに

テウ(フのときに息を吹かない)

テオ(ウのときに歯を閉ぢない)

テョー(テの後半エとオが融合)

チョー(テの子音[t]が続く半母音[j]に引かれて破擦音へ)

といふプロセスにより変化(転呼)しましたが、しかし表記としては大昔から現代にいたるまでずつと最初のまま「てふ」と書かれてきました。
「けふ」や「せふ」「てふ」などを「キョー」「ショー」「チョー」と発音する習慣が続いてゐたわけです。
幼時からそのやうに読む習慣ですから、表記と発音の乖離についてはあまり気になりませんでした。

そして昭和時代になつてから「現代仮名遣い」の決まりでそれを「ちょう」と書くことにしたのですが、歴史的仮名遣ひが発音とかけ離れた不合理な書き方だと言挙げされがちになつたのはそれ以降のことです。



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