あい
海から種種の珍しいものを打ち寄せてくれる好ましい風。神の恩恵(あえのもの)の意か。北前船はこの風に乗り日本海を南下した。能登半島では特にこの風に対する信仰が強く、祭りの日には決まってあいの風が吹くという。
あなじ
「あな」は驚きを意味し、「じ(し)」は風。悪風としての恐怖感を表す名称。あなじの八日吹き=陰暦十二月八日に荒れ模様になること。
穴師神社
大和、和泉地方で風の神を祀る神社。
雨風祭り
風祭の一つ。東北地方で人形を作って村境へ送り出す。
天御柱(あめのみはしら)神
延喜式によれば風の神は天御柱神と国御柱神。
御神楽荒れ
秋から冬にかけての大風の吹くといわれる祭日。
送南風(おくりまぜ)
盆の精霊(しょうりょう)を送ってから吹く南風。
貝寄風(かいよせ)
大阪湾に吹く冬の季節風(西風)のなごり。陰暦二月二十二日の大阪四天王寺の聖霊会(しょうりょうえ)の供養の飾り物は、竜神がこの風で難波の浜に捧げた貝殻で作ると言い伝える。
風穴ふたぎ
風祭りの名の一つ。
風招き(かざおき)
風を呼び起こすこと。かぜおき。
風日待(かざひまち)
仕事を休み、村人が集まって飲食をする。八朔の行事の一つ。
風祭(かざまつり)
作物に暴風の被害がないように祈願する行事。二百十日前後に行うことが多い。新潟県弥彦神社の二百十日の風祭や、兵庫県伊和神社の二百十日の七日前の風鎮祭など神社の神事にもなっている。
風邪
「風」と同音。原因不明の体調悪化は風のように得体の知れない悪霊の仕業と信じられたことから名付けられた。
風切り鎌
鎌は風の力を衰えさせると信じられた。群馬県や長野県で屋根に取り付けたり、富山県などで強風のとき竹竿の先に付けて風に向けて立てる。法隆寺五重塔の上の相輪には風切り鎌が取り付けてあるのが見える。
風定め
陰暦十月十日に風向を見て一年の風や天候を占う行事。
風止め籠り
八朔の日などに村の神社にお籠りをする行事。風籠り。
カゼの神送り
悪疫流行に際し、災厄除去にわら人形を作って焼き捨てるなどの行事。
風神祭(かぜのかみまつり)
竜田大社の祭り。675年に風神を祀ったのが始まりという。
風の三郎様
新潟県や伊豆諸島に伝わる風の神の名。新潟では旧暦六月二十七日に小屋を作って祀り、風除けを祈る。
風の祝り(かぜのはふり)
「十訓抄」には、信濃の国は風早き所なので「風の祝り」という神職を置いて100日間忌み篭ることが記されている。
風の盆
富山県八尾町。陰暦の盆踊り、ニ百十日の風除け、五穀豊穣を願う行事の混交した祭り。
風の宮の祭り
熊本県阿蘇神社の祭り。竜田大社と同じ日に行い、風雨の害を卜う。
風負け
熊本県天草地方。憑依状態になることをいう。
神風
風は神が起こすものと信じられていたが、後世は特に蒙古襲来時の暴風を指すことが多い。
神渡(かみわたし)
神立風(かみたつかぜ)ともいう。旧暦十月の神無月の神々の出雲への往還のときには大風が吹くと伝えられ、お籠りなどをする。
ごさい(御祭)
夏の土用のなかば過ぎに、一週間ほど吹く北東風。陰暦六月一六・一七日に伊勢神宮の祭があることからの名という。御祭風。
級長津彦命(しなつひこのみこと)
志那都比古神、級長戸辺(しなとべ)命。男の風神。イザナギノミコトが吐いた息が神様になったもの。女神とともに風の神として多くの神社に祀られる。
志那津比売命(しなつひめのみこと)
志那都比売神。女の風神。
大師講吹き
旧暦十一月に行われる大師講の日(冬至前後)に吹く風。「ダイシサマ」という神が吹かせる。
竜田大社
奈良県三郷町。崇神天皇のとき建てられたといい、天御柱神と国御柱神を祀る。六月二十八日〜七月四日の風神祭(風鎮祭)は天武朝の創始という。農業、航空、船舶、漁業など風に関係する職業の人たちの信仰を受けている。
竜田祭
風神祭(かぜのかみまつり)。
たま風
「たま」は霊魂のことで、悪霊の吹かせる風の意。船乗りに恐れられる。
天吹(てんぷく)
鹿児島県。笛を吹いて風を呼ぶ呪術。
トウセンボ
風祭りの一つ。風を通さないという意味か。
二百十日
立春から数えて210日目。九月一日前後。暴風が吹きやすいといわれる。稲の穂ばらみ期であるので重要視された。
二百二十日
二百十日と同趣旨。
涅槃西風(ねはんにし)
陰暦二月十五日の涅槃会のころに吹く北西季節風のなごり。彼岸西風(ひがんにし)、彼岸荒れ。
八朔
旧暦八月一日の節日。収穫を前にしたさまざまな行事が行われる。風祭りの日ともされる。二百十日前後に当たる。
八朔の荒れ
風の厄日の一つ。二百十日前後。
比良の八講荒れ(ひらのはっこうあれ)
琵琶湖西岸の白鬚神社(比良明神)の比良八講という法会のころ寒気がぶり返し、比良山地から琵琶湖西岸へ吹き降りる強風。比良八荒(ひらはっこう)。
広瀬神社
奈良県河合町。竜田大社の風神と縁故があり、古くは風神祭を行った。
風穴神社
洞穴を風が吹いてくる元と見て祀ったもの。愛媛県伊予三島市の豊受神社そばの洞穴ほか。
風神
風の神を祀った神社は奈良の竜田大社、熊本の阿蘇神社、伊勢神宮内宮別宮の風日祈宮、外宮の風宮、長野の諏訪大社およびその末社ほか多数。仏教では千手観音の眷属である二十八部衆に加えられることが多い。裸で風袋をかつぎ、天空をかける姿で描かれる。
風鎮祭
竜田大社で七月四日に行われるものが代表。
風神堂(吹かん堂)
不吹堂とも書く。富山県西部の平野地帯に多くある風災除けの小祠。
八日吹き
旧暦師走八日に吹くといわれる風。祭日。
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