練習問題

 次の文章お正しい仮名遣いに改めよ。

 歴史的仮名遣いの文

 「拝啓 新緑の美しい季節になりました。 長い間ごぶさたしてをりますが、先生にはお健やかにお過ごしのことと存じます。
 おかげさまでわたくしも元気に通学してをりますので、どうぞご安心ください。
 早いもので、こちらの大学院に入つてからもう一か月半もたちました。入学当初は、キャンパスに学生があふれ、四方からスピーカーの声が押し寄せる活動的な学園風景にほんたうに驚きました。けれども、今ではすつかり慣れて、あたりがひつそりした時など、かへつて落ち着かない感じがするほどです。
 授業は朝の九時から夜の九時まで、一日に七時限ありますが、今年のわたくしの科目は二限から五限までの間にをさまりました。あき時間にはたいてい図書館で調べものをします。友達とおしやべりして時間をつぶすこともあります。
 中学時代から、ひまがあれば飽きずにピアノやキーボードをひいてをりましたが、大学の三年に編入してから、音楽好きの仲間を集めてバンドを組み、学園祭に参加したりしてまゐりました。今でも授業の終はつたあと、そのサークル活動に顔を出すこともあります。
 高校時代にシャーロック・ホームズに夢中になり、自分でも下手な作品を書いてみたこともありました。今でも夜下宿で推理小説を読むのが何よりの楽しみです。でも、このところ忙しくて、娯楽の本を読んだり好きなクラシックを聞いたりする趣味の時間がなかなか思ふやうにとれません。」

 現代仮名遣いの文

 「語学の予習や復習をしたり、受講している科目の参考文献を読んだりするのにかなりの時間がとられますし、来週は発表があたっていて、この週末はその準備にかからなくてはなりません。それに、週に二回、家庭教師のアルバイトで、受験生の勉強を見てあげていますので、うちでのんびり過ごすのが最近の夢です。でも、あと二か月もすれば夏休みに入りますから、すこしはゆっくりできるかと思います。
 将来は外国で日本語を教えたいと考えておりますが、そのためには、まず、自国の歴史と伝統をよく知っておかなければなりません。先生もご存知のように、わたくしは日本人でありながら外国生活が長く、その点で常識が不足しております。そこで、休暇を利用して京都や奈良の方面へ足をのばし、古い文化にどっぷりと浸って、大いに見聞を広めてみようというつもりでおります。その折は、旅先での印象やら感想やらを率直に記して、またお便りを差し上げたいと思います。
 考えてみますと、わたくしが日本語と日本文化を専攻するようになったのは、先生の比較文化に関する英語の講義を聴講したのが、そのきっかけであったような気がいたします。いつか先生のお宅におじゃまして、奥様のお手製のアップル・パイなどごちそうになりながら、国による考え方の違いについていろいろお話をうかがった時のことをなつかしく思い出しております。心のこもったご指導に深く感謝いたします。
 こちらは間もなく梅雨に入ります。御地も朝晩はまだ寒い日もあろうかと存じます。くれぐれもお体をお大切に。末筆ながら、奥様はじめご家族の皆さんによろしくお伝えくださいませ。 敬具」

 

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