補講304教室

特別授業:文語動詞の歌ひ方について

仰げば尊し・蛍の光・文語の歌詞・文語動詞の歌い方

 「仰げば尊し」

  仰げば尊し わが師の恩

 「仰ぐ」は特殊な転呼の語ですので「あふげば」の歌ひ方は「アオゲバ」です。これ以外の歌ひ方はありません。(もちろん鎌倉時代の一時期を再現するつもりなのであればこの限りではありません。)参考
 「たふとし」は原則通り「トートシ」です。これ以外の歌ひ方はありません。
 実際の歌唱は「アーオーゲーバー、トーオートーシー」となるでせう。

 なほ、「尊し」が仮名表記で「たつとし」であれば「タットシ」です。「たふとし」で「タットシ」と読むことはありません。(漢語ならば例へば「なふとく」を「ナットク」と読むことはあります。)

 

 「蛍の光」

  幸くとばかり 歌ふなり

 「うたふなり」の歌ひ方は原則通り「ウトーナリ」です。実際の歌唱は「ウートーオナーアーリー」となるでせう。
 ただしこれは動詞ですので朗読する際には現代標準語(いはゆる「共通語」)に合はせ(長音化転呼せずに)「ウタウナリ」と読むことが可能です(文語の響きは失はれてしまひますが)。参考

 

 「箱根八里」

  前に聳え、後方(しりへ)に支(ささ)ふ

 「ささふ」は原則通り「サソー」です。実際の歌唱は「サソオ」に近いでせう。
 ただしこれは動詞ですので朗読する際には長音化転呼せずに「ササウ」と読むことが可能です(文語の響きは半分失はれてしまひますが)。参考
 余談ですが、「後方に誘ふ」と誤解して「サソウ」と歌つてゐる人が多いやうです。



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