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旧暦と季節感

 

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 基本的な事項の確認:カレンダー上の季節とは

 普段、毎年の日付と季節が一致している新暦を使っている私たちが旧暦と季節感について考えるときにはいくつかのことが問題になります。

 まず、そもそも旧暦と新暦は一月のスタート時期が異なります。
 旧暦は立春の頃を元日とするものです。それは新暦の2月初めごろですから、旧暦の日付は新暦よりもおおよそ1ヶ月ほど遅れていることになります。旧暦の日付を見たり聞いたりしたら簡単にはそれを1ヶ月進めた新暦の季節を考えればよいことになります。(七夕やお盆などの行事を地方によっては1ヶ月遅れの日付で行うことがあるのは、旧暦時代に行っていたときの季節になるべく合わせようという意味があるのです。)

 ただし旧暦は各月のついたちを月の満ち欠けに拠って決めるのですから元日がぴったり立春の日になることは珍しく、早ければ新暦の1月18日であることも、遅ければ2月19日であることもあるのです。そのため旧暦時代には日付だけでは季節を正確に知ることはできませんでした。そこで太陽の運行に拠って決まっている立春などの二十四節気雑節(下図で小文字で示したもの)が何月何日になるのかを常に意識することが必要だったのです。例えば「夏も近付く八十八夜」と言いますが、それは旧暦では年によって三月であったり四月であったりしたのです。
 下図で青い線で示したのが旧暦の各月が年によって対応する新暦の最大範囲ですが、旧暦の各月名は簡単に言うとそれぞれ「2ヶ月分の季節感」を孕んだあいまいな(幅広い)概念ということになります。

 桜が開花する時期は旧暦では如月であったり弥生であったりするのですね。

 次に、立春をはじめとする二十四節気の名称は元々大昔の華北地方の季節感で名付けられたものです。立夏や立秋、その他の名称も我が国の季節感からすればずいぶん先走っている気がしますが、これらは我々の季節感が鈍っているのではなく、暦の方が日本の自然とはずれているのだと理解すべきものです。
 地球の北半球に当たる太陽の熱量は冬至を過ぎると少しずつ増え始め、夏至を過ぎると少しずつ減り始めます。そのときの北半球の暖まり方や冷え方は、海に囲まれた日本よりも大陸の方がペースが速いのだと理解することができます。一月から春、四月から夏、七月から秋、十月から冬という旧暦各月の季節への割り当てもひと月早い気がしますが、これも大陸ではより実感に近いのかもしれません。

 まとめますと、
●旧暦の日付は1ヶ月前後進めて大雑把に季節を考える。日付だけで季節の目安にしたり農作業の参考にしたりしてはいけない。
●季節を正確に表すのは旧暦とは関係のない
二十四節気であるが、実感とのずれについては「元々違う自然環境の土地での話だから・・」と割り切って受け取る。
●ただ、そのことをわきまえておけば旧暦や二十四節気などは季節感で潤う生活に大いに資することになる。
 ということになりましょうか。考えてみれば暦の季節が実感よりも先行しているというのはなかなか素敵なことではありませんか。

 なお、「睦月」などの月の和名は日本で付けられたものですから元々我が国の実情に合っているものだと理解できます。


(以下の説明では旧暦の日付を漢数字で表しています。)

旧暦一月(睦月 むつき) 春の始まりとされるが実感はまだまだのことが多い。
大よそ新暦の1月20日〜2月20日ごろに始まる。元日は厳冬の場合も春の気配の場合も。
和名は睦み合う意という。

旧暦二月(如月 きさらぎ)
大よそ新暦の2月20日〜3月20日頃に始まる。初春から本格的な春まで年によって様々。
和名は衣を更に着る意という。

旧暦三月(弥生 やよい)
大よそ新暦の3月20日〜4月20日頃に始まる。桜の季節であったり終わっていたりする。雛祭り(三月三日・桃の節句)は桜の後になることも多い。弥生尽(三月末日)は春の終わりとされたが、新暦の4月であったり5月であったりする。
和名はいよいよ生える意という。

旧暦四月(卯月 うづき) 夏の始まりとされるが実感はまだまだのことが多い。
大よそ新暦の4月20日〜5月20日頃に始まる。年によって爽やかな季節から梅雨入りまでの幅がある。卯の花月。卯月鳥はホトトギス。「卯の花の匂ふ垣根にホトトギス早も来鳴きて忍び音もらす夏は来ぬ」
和名は十二支の四番目からともいう。

旧暦五月(皐月 さつき)
大よそ新暦の5月20日〜6月20日頃に始まる。梅雨入りから梅雨最中の季節。「五月雨(さみだれ)」は梅雨。「五月(さつき)晴れ」は梅雨の中休みの晴れ。端午の節句(五月五日)が梅雨最中になることも。「五月雨の灌ぐ山田に五月女が裳裾濡らして玉苗植うる夏は来ぬ」
和名は早苗月の意という。

旧暦六月(水無月 みなづき)
大よそ新暦の6月20日〜7月20日頃に始まる。年によって梅雨から盛夏までの幅がある。
和名は水の無い月ではなく水の月(田に水を引く月)の意であるという。

旧暦七月(文月 ふみづき、ふづき) 秋の始まりとされるが実感はまだまだのことが多い。
大よそ新暦の7月20日〜8月20日頃に始まる。七夕(七月七日)は夏と秋の境とされたが、盛夏であることが多い。七夕行事を新暦7月7日に行おうとすると梅雨の最中に当たるので「月遅れ」と称して新暦8月7日に行うところも多い。この方が旧暦七月七日の季節に近い。お盆は七月十三日から十五日であるが、これも「月遅れ」の新暦8月同日に行う地方が多い。その方が旧来のお盆の季節感と合っているのである。
和名は穂含みの意という。

旧暦八月(葉月 はづき)
大よそ新暦の8月20日〜9月20日頃に始まる。ようやく秋の気配に達するだけの年もある。
和名は葉落ち月の意という。

旧暦九月(長月 ながつき)
大よそ新暦の9月20日〜10月20日頃に始まる。菊月。重陽の節句(九月九日)は菊の節句。年により初秋〜晩秋。
和名は長夜月の意という。

旧暦十月(神無月 かみなづき、かんなづき) 冬の始まりとされるが実感はまだまだのことが多い。
大よそ新暦の10月20日〜11月20日頃に始まる。年により晩秋〜初冬。
和名は神の月の意という。俗に神不在の月ともいう。

旧暦十一月(霜月 しもつき)
大よそ新暦の11月20日〜12月20日頃に始まる。年により初冬〜真冬。
和名は霜の月の意という。

旧暦十二月(師走 しわす)
大よそ新暦の12月20日〜1月20日頃に始まる。年により真冬〜晩冬〜初春。
和名は風(し)馳すの意か。俗に師(僧)が忙しく走る意とも。

二十四節気とは? 雑節・節句について 伝統的年中行事


注意:「旧暦は新暦よりも季節に合っているのだ、旧暦と新暦の関係が年によって異なるのは予めその年の気候の傾向を示しているのだ。」などという説明をする向きがあります。例えば「今年はなかなか秋が来ないのは旧暦の夏に閏月があって夏が長いからだ」など。しかしこれらは全くの迷信です。

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