サイト内検索  総目次   

完全版とびら 手引き 法則 総合辞書 字音仮名遣表 例外動詞 原理 歴史 補講 練習

語の由来

4版-7

 五十音順版へ

  A5語頭以外の「ワ」について
A2語頭の「イ」について A6語頭以外の「イ」について
  A7語頭以外の「ウ」について
A3語頭の「エ」について A8語頭以外の「エ」について
A4語頭の「オ」について A9語頭以外の「オ」について
B1B2A4「オウ、コウ、ソウ、・・・」について
B3「キュウ、シュウ、チュウ、・・・」について
B4B5「キョウ、ショウ、チョウ、・・・」について
C1「ジ、ジャ、ジュ、ジョ」について
C2「ズ」について

 ここでは「歴史的仮名遣ひの手引き」の各項目(A2〜C2)で挙げた各語について、仮名遣ひを覚えるためのヒントとなる古い語形、同根の語、関連する語、推定語源、民間語源説などを青文字で示しました。[ ]内は説明や参考事項です。下記の「仮名遣ひを推定する方法」を理解した上で個々の仮名遣ひを覚えるための一助としてご利用下さい。
 有効な記載のないもの(漢語など)は仮名遣ひをそのまま覚えるしかありません。

 語の配列は上の表の種別ごとに分け、現代仮名遣ひで書いた場合の五十音順としてあります。完全五十音順版はこちら

(このぺージの記述は「歴史的仮名遣ひの手引き」に採用した仮名遣ひの根拠を示すものです。仮名遣ひに関係しない部分、採用しなかった異説などについては当然ながら触れてゐません。)


仮名遣ひを推定する方法:

●「ア行」の音は元々語頭以外には存在しなかった。したがって語頭以外のア行音は「あ行」の仮名で書かない。多くは「は行」の「ひ、ふ、へ、ほ」である。(僅かにや行の「い、え」、わ行の「ゐ、う、ゑ、を」がある。)
  例:会ます 会 会ば な (老る 燃る くら 玉苗植る夏は来ぬ 据る やら)

●ただし、「い」ではない仮名の部分をぞんざいに「イ」と発音してできた新しい語(イ音便)、「う」ではない仮名の部分をぞんざいに「ウ」と発音してできた新しい語(ウ音便)では「い」、「う」と書く。
  例:書きて--書て ござります--ござます おめでたく--おめでた かりひと--かり

注:「ひ」の仮名自体が「イ」と発音されるやうになったもの、および「ふ」の仮名自体が「ウ」と発音されるやうになったもの(ハ行転呼音)は新しい語(音便)ではないのでそのまま「ひ」、「ふ」である。
  例:会ます 会

注:「ゐ」の仮名は「イ」と発音されるやうになったが、これも新しい語(音便)ではないのでそのまま「ゐ」である。
  例:

音便と転呼については原理ページなど参照のこと

●また、長音化や発音の便宜上で付加された母音、転訛、融合、短縮した母音は「あ行」の仮名で書く。
  例:いえ--いえ あね--ねさん そこら--そこら さ--さなる しんまへ--しんま かへる--ける しちゃはう--しちゃ

●また、掛け声、感動詞の母音は「あ行」の仮名で書く。
  例:え へ わっしょ

 ●同根語は同じ行内の文字が交替する。
   例:めく--めく 燃す--燃る--燃

 ●同根語は同じ文字で清濁が交替する。
   例:ちち(父)--ぢぢ(爺) 泣いまふ--死んまふ (擦)る--る--れる

 ●「む」「ん」「う」は音便により交替する。
   例:行か--行か--行か かぐはしい→かばしい--かばしい

 ●発音の一部脱落によって採るべき仮名の候補が二つある場合は原則として前者を採る。
   例:はひいる(這ひ入る)→はる(入る) さはわたり(沢渡り)→さたり(沢渡) やしほをり(八塩折り)→やしり(八塩折)
     ただしその結果、漢字表記において振り仮名が一字も当てられない漢字が生じるときはこの限りでない。
     例:川和田→
×かはだ ○か

事例スタディー  例文逐語解説



以下本文

 

A2について

語頭の「イ」→「ゐ」
井 居る ゐ(集)る[水のある所の意] 居水
藺草 居−[上に座る意]
居丈高 居−
田舎 居中
猪 亥 鳴き声wi 居−[首が据わってゐる意] を(怖)ぢる[恐ろしいの意]
威張る 威の字音
ヰモリ 井守
居る を(居)る 有の字音wi

A3について

語頭の「エ」→「ゑ」
絵 字音
描く 絵書く
ゑぐい ゑぐる
抉る ゑ(彫)刳る ゑ(彫)る 割る
餌 飢ゑ
笑み 笑む ヱの発音時の表情
ヱンジュ ゑにす 槐の字音we

A4について

語頭の「オ」→「を」
小 尾 woの音の口の形
尾 小 終はり
緒 
甥(をひ) をおひ(男生)
終へる 尾経る 尾辺−
雄々(をを)しい 
丘 岡 をか(峯処) 尾高 小高
可笑しい をこ(痴愚) 烏滸の字音 尾籠の字訓 を(招)く−[望ましいの意] 小−[可愛いの意]
犯す をこ(痴愚) を(招)く
拝む 折れかがむ
荻 尾− を(招)ぐ[そよぐ様子]
桶 をけ(麻笥)
をこがましい をこ(痴愚) 烏滸の字音 尾籠の字訓
ヲコゼ をこじ をこ−[貌の形容]
長 をさ(筬) 治む
をさをさ 長々
幼い 長なし 小−
収める 納 治 修 長−
叔父 伯父(をぢ) 小父
惜しい を(感動詞)− 小−[可愛いの意]
教へる を(愛)しむ
をぢさん 小父
ヲシドリ を(愛)し− 雄雌−
雄 牡 woの音の口のとがってゐる形
教はる 教へる
夫 雄ひと 雄うと をさ(長)ひと
男 をち(若)こ 小つこ
一昨日(をととひ) をち(遠)つ日
一昨年 をち(遠)年
少女(をとめ) をち(若)め 小つめ
囮 を(招)き鳥
踊る 小飛ぶ 折取る
斧 小の・よき(斧) 小薙ぎ
をののく わななく 踊り退く
叔母 伯母 をばさん 小母
ヲミナヘシ 女へ(圧)し[美女もかなはぬ意]
檻 居り
折 折る 割る をを(撓)る わわ(破)く 分かる
居(を)る ゐる 居有る 折る[膝を折る意]
ヲロチ 尾−
終(をは)る 終へる
女 をみな 小身− 小女− 男身馴
語頭の「オウ」→「あ・・」
扇(あふぎ) 扇ぐ
逢瀬(あふせ) 会ふ瀬
近江(あふみ) あは(淡)海
青海(あをみ) あをうみ
青梅(あをめ) あをうめ


A5について

語頭以外の「ワ」→「わ」
〜わ(終助詞) [この用法を新語とみなしての伝統的表記「わ」(起源自体は「は」)]
あわ 泡 −輪
あわただしい あわてる 慌 泡立つ
いわう 硫黄 湯泡 ゆわ ゆわう
いわし 鰯 弱し
うわる 植 植ゑる
かわく 乾 渇 気沸く
くつわ 轡 口輪
くるわ 廓 曲輪
くわゐ 慈姑 食ひ割れゐ(集)る 栗分かれゐ(率)る 黒輪藺 −藍
ことわざ 諺 言業
ことわる 断 事割る
こわいろ 声色 こゑ
さわぐ 騒  ざわざわ ざわめく ザワザワ
しわ 皺 しをれる
すわる 座 据ゑる
すわる 据 座る
たわいない 他愛無 たい(体)− たあい− とわき(利分)−
たわむ 撓 たわわ たをやか
はにわ 埴輪 −輪
よわい 弱 いやを(彌折)れ

A6について

語頭以外の「イ」→「い」 (イ音便、付加音、感動詞、や行の「い」など。 語頭以外に元々あ行の「い」であるものはない。)

元や行の動詞三個
 老いる 老ゆ
 悔いる 悔ゆ 悔やむ
 報いる 報ゆ 向くる

あいつ あやつ
あいにく 生憎 あやにく
あるいは 有る・い(助詞)・は
〜い(形容詞の語尾) 〜し 〜き
いいえ いや
いっぱい 漢語
えい(掛け声) 母音
おい おいらく おいる 老 老ゆ
おい(呼びかけ) 母音
おいしい 美味 お・いしい
おいて 於 おきて
おいで お・出で 出づ
おいら 俺等 おれら
おほいに 大 大きに
かい 櫂 掻き
かいくぐる 掻潜 掻きくぐる
かいぞへ 介添 かきぞへ
かいだす 掻出 掻き出す
かいまき 掻巻 掻き巻き
かいまみる 垣間見 垣間見る
かはいい 可愛 かはゆい 顔映ゆし
かはいさう 可哀想 かはいい−
くい 悔 悔ゆ 悔やむ
〜ください くださりませ くだされ
こい 来 来よ
こいつ こやつ
ここいら ここら
〜ございます ござります
さいなむ 苛 さきなむ
さいはひ 幸 さきはふ
ぢいさん 爺 ちち ぢぢ
〜しゃい 〜しゃりませ 〜しゃれ
しんまい 新前
ずいき 芋茎 すりくき(研茎) 髄茎
ずいと すいと
ずいぶん 随分 漢語
すいません 済みません
せい(背) せ [延ばす音を「え」ではなく例外的に「い」とする]
せいいっぱい 精一杯の字音
せいぜい 精誠の字音
ぜんまい 銭巻き
そいつ そやつ
そこいら そこら
〜たい たき たし
たいした 大の字音
だいぶ 大分 大の字音
たいまつ 松明 焚き松
たわい 他愛 たい(体) たあい とわき(利分)
つい(うっかり) 突き
つい 対 漢語
ついぢ 築地 つきぢ つきひぢ
ついたち 一日 月立ち
ついたて 衝立 衝き立て
ついて つきて
ついで 次 次ぎて
ついで 序 次出
ついばむ 啄 突き食む
〜っしゃい 〜しゃりませ しゃれ
どいつ どやつ
たうてい 到底 字音
〜ない なき なし
ないがしろ 蔑 無きが代
〜なさい なさりませ なされ
にいさん 兄 あにさん
はい(返事) 母音
ひいき 贔屓 引き
ひいでる 秀 穂出づ
ふい(駄目) プイ ポイ
ふいご 鞴 吹きかは(皮)
へい(はい) 母音
ほいほい 母音
〜まい まじ
まいにち 毎日 漢語
むいか 六日 むゆか
むくい 報 報ゆ 向くる (むくひ 報ふ)
やい(呼びかけ) 母音
やいのやいの 母音
やいば 刃 焼き刃
〜らしい らしき
わいわい 母音
わっしょい 母音
語頭以外の「イ」→「ゐ」
あゐ 藍 あを(青)
あぢさゐ 紫陽花 あづさゐ(厚藍 集藍)
いぬゐ 乾 戌亥 犬猪
くらゐ 〜ぐらゐ 位 座居
くれなゐ 紅 呉の藍
くわゐ 慈姑 食ひ割れゐ(集)る 栗分かれゐ(率)る 黒輪藺 −藍
しほさゐ 潮騒 さわぐ
しきゐ 敷居 閾 −藺 −居
しばゐ 芝居 芝居
せゐ(所為) しょゐ(所為) 字音
とりゐ 鳥居 鶏居
ひきゐる 率 引きゐ(率)る
まゐる 参 まゐ(参)入る 目居る
もちゐる 用 持ちゐ(率)る
もとゐ 基 本居

A7について

語頭以外の「ウ」→「う」 (ウ音便、付加音、感動詞、わ行の「う」など。 語頭以外に元々あ行の「う」であるものはない。)

(文語のわ行動詞三個)
 植う 植わる [玉苗植うる夏は来ぬ] うゑ(空彫)る
 飢う うつ(空)居る うゑる 餌
 据う 据わる 座る 摺りゑ(植)る −居る

あはう [語源不詳 房の字音とも]
ありがたう ありがたく
いわう 硫黄 湯泡 ゆわ ゆわう
いちゃう 銀杏 鴨脚の字音
いもうと 妹 いもひと
〜う(動詞の推量、意思) む [書かむ 書かん 書かう]
〜うる 得 得る
おとうさん 父 ととさま おとっつぁん
おとうと 弟 おとひと
おはやう おはやく
おめでたう おめでたく
かりうど 狩人 かりひと
〜からう からむ
からうじて 辛 からくして
かはいさう 可哀想 かはいい・〜さう
ききゃう 桔梗 漢語
きうり 胡瓜 黄瓜 木瓜 
くろうと 玄人 黒ひと
かう(〜だ、いふ、する、なる) かく
かうがうしい 神々 かみがみ
かうし 格子 かくし 漢語
こうぢ 小路 こみち こぢ(路)
かうぢ 麹 かびたち かむだち かむち
かうぞ 楮 紙そ
かうばしい 香 かぐはしい
かうべ 頭 かみへ(上辺)
かうべ 神戸 神−
かうむる 被 かがふ(頭触)る かうぶる かんむり
かうもり 蝙蝠 かわぼり かわもり 蚊守
かうり 行李 漢語
ごきげんよう ごきげんよく
ごちそうさま 馳走の字音
さやうなら さ様なら 字音
〜ぢゅう(中) チュウ 字音
しうと 舅 しひと そひ(添)ひと
しうとめ 姑 しひと
しゃうが 生姜 漢語
しゃうがない し・やう(様)− 字音
しゃうぶ 菖蒲 漢語
しろうと 素人 白ひと
さう(〜だ、いふ、する、なる) 
〜さうだ、さうな さま(様) 相の字音
さうざうしい 騒々 さわぐ さわさわ
さうらふ 候 さぶらふ
たたう 畳 たたみ たたむ
〜たらう たらむ てあらむ
〜だらう たらむ であらむ
てうづ 手水 てみづ
ちゃうど 丁度 長度の字音 ちゃんと
てうな 手斧 てをの
〜でせう でせ・む [でさうらふ でさう、 でござります であります です]
どう 如何 ど どこ どれ
たうげ 峠 手向け たわむ
とうさん 父 ととさま とっつぁん
どうせ どう
どうぞ どう
たうてい 到底 字音
たうとう 到頭 字音
とうに 疾 疾くに
どうも どう
だうりで 道理 漢語
どぢゃう 泥鰌 土長の字音
なかうど 仲人 なかひと
のうのう のんのん のんびり のびのび
ひうが 日向 ひむか
ヘウ 豹 漢語
ふつう 普通 漢語
ぶだう 葡萄 漢語
〜はう 方 字音
はうき 箒 羽掃き
はうむる 葬 はぶる はむる
ほんたう 本当 字音
〜ませう ませ・む [まゐらする まする ます]
めうが 茗荷 めが(女香)
めうと(ミョートと読む場合) 夫婦 めをと
もう(既に) も もはや
もう(更に) も [まう説もある(ま いま また)]
まうける 設 儲 ま(設)く 間受ける
まうす 申 まをす
まうでる 詣 まゐい(参出)づ
〜よう(動詞の推量、意思) エ段の音+む [せむ せん せう ショー しよう]
やう(〜だ、な) 様 字音
やうか 八日 やか
ようこそ よくこそ
やうす 様子 字音
やうやく 漸 ややく やくやく
りんだう 竜胆 胆の字音tam
わかうど 若人 わかひと
われもかう 吾木香 −カウ(香) [我も斯う] [吾亦紅の読み仮名ならば「われもこう」]
特殊なもの
あかほ 赤穂 あかほ
あをみ 青海 あをうみ
あをめ 青梅 あをうめ

A8について

語頭以外の「エ」→「え」 (付加音、感動詞、や行の「え」など。 語頭以外に元々あ行の「え」であるものはない。)

元や行動詞二十七個
 あまえる 甘 甘やかす 甘ゆ 甘あ(肖)ゆ
 いえる 癒 癒す 癒ゆ
 おびえる 脅 脅かす 脅ゆ
 おぼえる 覚  おもほゆ 覚ゆ
 きえる 消 消ゆ [松原遠く消ゆるところ] 気止む
 きこえる 聞 聞こゆ 聞かゆ
 こえる 越 越ゆ 来行く有る 此ゆ −よ(過)ぐ
 こえる 肥 肥やし 肥ゆ [馬肥ゆる秋] 越ゆある
 こごえる 凍 凍ゆ 氷り入る
 さえる 冴 さやか 冴ゆ 冴ゆる
 さかえる 栄 栄ゆ 咲き映ゆる
 すえる 饐 饐ゆ 酢ゆ
 そびえる 聳 そびやかす そびゆ [そびゆる甍は] そびらよ(背平由)る
 たえる 絶 絶やす 絶ゆ たゆ(弛)む −ゆ(緩)る
 つひえる 費 潰 費やす 費ゆ つひや(終遣)る
 なえる 萎 なよなよ 萎ゆ −寄る −止む
 にえる 煮 煮やす 煮ゆ
 はえる 生 生やす 生ゆ −得る
 はえる 映 栄 映ゆ 面はゆい 流行る 囃す 晴れる ひいや(日彌)る
 ひえる 冷 冷やす 冷ゆ ひいよ(氷彌)
 ふえる 増 増やす 増ゆ ふいよ(太彌) ふやける はえる
 ほえる 吠 吠ゆ
 まみえる 見 目見える
 みえる 見 見る [敵艦見ゆ]
 もえる 燃 燃やす 燃ゆ [燃ゆる思ひ] もの焼く
 もえる 萌 萌ゆ 芽生ゆる モヤシ
 もだえる 悶 悶ゆ もだ(黙)し悩む 身絶える
 ※古く「あ(肖)ゆ」といふ動詞があり(「あやかる」の語源)、語幹に付いて「〜に似る、〜のやうになる」の意味を表した。いくつかのや行の動詞はかうして出来た可能性がある。

あえか あやまる あ(零)ゆ[こぼれ落ちる意]
あまえ 甘 甘やかす 甘ゆ 甘あ(肖)ゆ
いいえ いえ いや
いりえ 入江 
〜え(人名の江、枝) 江、枝
ええ(応諾) 母音
おびえ 脅 脅かす 脅ゆ
おぼえ 覚  おもほゆ 覚ゆ
きこえ 聞 聞こゆ 聞かゆ
こえ 肥 肥やし 肥ゆ [馬肥ゆる] 越ゆある
こごえ 凍 凍ゆ 氷り入る
こころえ(る) 心得 −得る
さえぎる 遮 さいぎる 先切る
さえ 冴 さやか 冴ゆ 冴ゆる
さかえ 栄 栄ゆ 咲き映ゆる
サザエ −枝 さざれ
たえだえ 絶々 絶える 絶やす 絶ゆ −ゆ(緩)る
つひえ 費 費やす 費ゆ つひや(終遣)る
つくえ 机 突き枝
なえ 萎 なよなよ 萎ゆ −寄る −止む
にえ 煮 煮やす 煮ゆ
ぬえ 鵺 萎える
ねえ(呼びかけ) 
ねえさん 姉 あねさん
はえ 栄 映ゆ 面はゆい 流行る 囃す 晴れる ひいや(日彌)る
ひえ 稗 −荏 ひよね(鄙米)
ひえ 冷 冷やす 冷ゆ ひいよ(氷彌)
ふえ 笛 吹き枝
へえ(はい) 母音
みえ 見栄 見ゆ 見える
もだえ 悶 悶ゆ もだ(黙)し悩む 身絶える
語頭以外の「エ」→「ゑ」
いしずゑ 礎 石据ゑ
うゑる 植 植わる [玉苗植うる夏は来ぬ] うゑ(空彫)る
うゑる 飢 うつ(空)居る −餌
〜ゑ(人名の恵) 恵の字音
こゑ 声 こわ色 こわ音 ことゑ(言笑)
こずゑ 梢 木末
すゑ 末 −居 −尾 
すゑる 据 据わる 座る 摺りゑ(植)る −居る
つゑ 杖 突き据ゑ 突き居
ともゑ 巴 鞆絵
ほほゑむ 微笑 笑む
ゆゑ 故 由る分け 寄居
ゆゑん 所以 ゆゑに

A9について

語頭以外の「オ」→「お」 (語中に見えて実は語頭であるもの。 語頭以外に元々「お」であるものはない。)
はおり はおる 羽織 織る
語頭以外の「オ」→「を」
あを 青 藍 あゐ(天居)
いさを 功 勇雄
うを 魚 浮尾 浮居
〜を(助詞) 感動詞wo
〜を(人名の男、雄、夫) 男、雄、夫
かをり かをる 香 気折 香居
かつを 鰹 堅魚
さを 竿 小尾
しをらしい しをれる
しをり 栞 −折り
しをれる 萎 しなび折れる
たをやか たわむ
たをやめ 手弱女 たわむ
たをる 手折 折る
とを 十 止尾 手終
ますらを 益荒男 −男
みを 澪 水尾 水緒
みさを 操 真青 身竿
めをと 夫婦 女夫
やをら よわ(弱)
語頭以外の「オ」→「ふ」
あふひ 葵 仰日 逢ふ日
あふぐ 扇 天吹く
あふぐ 仰 うは(上)向く 逢ふ−
あふむく 仰向 仰ぐ
あふる 煽る 扇ぐ
たふす たふれる 倒 手伏す
語頭以外の「オウ」→「わう」
いわう 硫黄 湯泡 ゆわ ゆわう


B1について

「オ段+ウ」→「あ段+う」
〜う(動詞の推量、意思) む [会はむ 会はん 会はう 書かむ 書かん 書かう]
「ヨウ」→「よう」
〜よう(動詞の推量、意思) エ段の音+む [せむ せん せう ショー しよう]

B2について

「オウ」→「あふ」
あふぎ 扇 扇ぐ
あふせ 逢瀬 会ふ瀬
あふみ 近江 あは(淡)海
(あをみ 青海 あをうみ
(あをめ 青梅 あをうめ
「オウ」→「わう」
いわう 硫黄 湯泡 ゆわ ゆわう
(あかほ 赤穂 あかほ
「コウ」→「かう(ふ)」
かう(〜だ、いふ、する、なる) かく
かうがうしい 神々 かみがみ
かうし 格子 かくし 漢語
かうぢ 麹 かびたち かむだち かむち
かうぞ 楮 紙そ
かうばしい 香 かぐはしい
かうべ 頭 かみへ(上辺)
かうべ 神戸 神−
かうむる 被 かがふ(頭触)る かうぶる かんむり
かうもり 蝙蝠 かはほり かはもり 蚊守
かうり 行李 漢語
なかうど 仲人 なかひと
むかふ(名詞) 向 動詞「向かふ」の名詞化 [むかう説もある(連用形「むかひ」の音便化)]
わかうど 若人 わかひと
われもかう 吾木香 香の字音 [我も斯う] [吾亦紅の読み仮名ならば「われもこう」]
まがふ 紛 目か(交)ふ まがひ
みまがふ 見紛 まがふ
「ソウ」→「さう」
かはいさう 可哀想 かはいい・〜さう
さう(〜だ、いふ、する、なる) 
〜さうだ、さうな さま(様) 相
さうざうしい 騒々 さわぐ さわさわ
さうらふ 候 さぶらふ
「トウ」→「たう(ふ)」
ありがたう ありがたく
おめでたう おめでたく
たたう 畳 たたみ たたむ
たゆたふ 揺蕩 ユタユタ ヨタヨタ ゆたか(裕) たゆたひ
たうげ 峠 手向け たわむ
たうてい 到底 漢語
たふとい たふとぶ 尊 −太し
たうとう 到頭 漢語
だうりで 道理 漢語
とほたふみ 遠江 とほ(遠)つあふみ(淡海)
ふきのたう 蕗の薹 [塔の字音タフ→転呼タウ→薹の字訓たう]
ぶだう 葡萄 漢語
ほんたう 本当 字音
りんだう 竜胆 胆の字音tam
「ホウ」→「はう(ふ)」
あはう [語源不詳 房の字音とも]
〜はう 方 字音
はうき 箒 ははき
はふはふの体 這ふ這ふ
はうむる 葬 はぶる はむる
はふる 放 はぶる
「モウ」→「まう(ふ)」
すまふ 相撲 動詞「すま(争)ふ」の名詞化 [すまう説もある(連用形「すまひ」の音便化)]
〜たまふ 給 たまふ 〜たまへ たまもの
まうける 設 儲 ま(設)く 間受ける
まうす 申 まをす
まうでる 詣 まゐい(参出)づ
「ヨウ」→「やう」
おはやう おはやく
さやうなら さ様なら
やう 様 字音
やうか 八日 やか
やうす 様子 字音
やうやく 漸 ややく やくやく
「ロウ」→「らう(ふ)」
〜からう からむ
からうじて 辛 からくして
さうらふ 候 さぶらふ
〜たらう  〜だらう てあらむ であらむ

B3について

「ウ段の拗音+ウ」→「い段+う、ふ」
きうり 胡瓜 黄瓜 木瓜
しうと 舅  しうとめ 姑 しひと そへ(添)ひと
じふ 十 漢語
〜ちふ(と言ふ) い(言)ふ
はにふ 埴生 −お(生)ふ
ひうが 日向 ひむか
かりうど 狩人 かりひと

B4について

「オ段の拗音+ウ」→「え段+う、ふ」
けふ 今日 こ日 この日 明けの日
〜でせう でせ・む [でさうらふ でさう です、 でござります であります です]
〜ませう ませ・む [まゐらする まする ます]
てふ 蝶 漢語
てうづ 手水 てみづ
てふちょ てふてふ 蝶々 てふ 字音
てうな 手斧 てをの
ヘウ 豹 漢語
ヘウタン 瓢箪 漢語
めうが 茗荷 女香
めうと 夫婦 めをと

B5について

「オ段の拗音+ウ」→「あ段の拗音+う」 (ほとんど漢語由来)
ききゃう 桔梗 漢語
しゃうが 生姜 漢語
しゃうがない し・やう(様)−
しゃうぶ 菖蒲 漢語
どぢゃう 泥鰌 土長
いちゃう 銀杏 鴨脚の字音
ちゃうど 丁度 長度 ちゃんと


C1について

「ジ」→「ぢ」
味 あまち(甘乳)
鯵 
あぢきない 味気− −つきなし
アヂサヰ あづさゐ(厚藍 集藍)
意地 字音
いぢいぢ おぢおぢ 怖ぢる
いぢめる いぢる
いぢらしい 意地
いぢる 意地
氏 生み地 生み筋 出づ
うぢうぢ おぢおぢ 怖ぢる
お爺(ぢい)さん ちち ぢぢ
をぢさん 小ちち
怖ぢる 驚く 怖づ
舵 掛け違へ −路 梶
梶 乾き地 穀の字音kat 舵
鍛冶 かなうち かぬち
鯨 くちびろ(口広)
けぢめ けち(結)目 分かち目
かうぢ 麹 かびたち かむだち かむち
地 字音
痔 漢語
〜路 みち すぢ
爺(ぢい)さん ちち ぢぢ
ぢか ぢき(直) チョク 字音
ぢぢ(爺) ちち
地味 字音
シメヂ しめ(湿)出づ
ぢゃ ぢゃあ(では) では
〜ぢゃ(だ、では) だ である では
〜ぢゃふ(でしまふ) でしまふ
〜ぢゅう(中) チュウ 字音
重々 ヂュウヂュウ 漢語
筋 すぐぢ(直路)
たぢたぢ たぢろぐ
たぢろぐ 立ち動く
縮む ちぢ(小々)
縮こまる 縮む
築地(ついぢ) つきぢ つきひぢ
どぢ とちる
泥鰌(どぢゃう) 土長の字音
閉ぢる 戸釣る 戸詰める
ナメクヂ 滑くぢら
汝 なむち
ネヂ ねぢる
ねぢる ねばちがへる 抜けづ(出)る
恥 晴れ出づる
肘 引き釣り 引き縮み
藤 ぶち(鞭) 吹き散り 房垂り
もぢもぢ おぢおぢ
捩(もぢ)る ねぢる よぢる
紅葉 もみつ もみづ
よぢる ねぢる
ワラヂ わらぐつ わらうづ わらんづ わらんぢ

C2について

「ズ」→「ず」
杏子 字音 −酢
礎(いしずゑ) 石据ゑ
うずうず うじ(蛆)
うずくまる うず居 うじ(蛆)
数 かぞへる かさ(嵩)
必ず かり(仮)ならず
傷 切り擦り きそ(切所)
葛(くず) こす(粉為) [(かづら)]
梢(こずゑ) 木末
〜ず(打消し) 動詞 す
芋茎(ずいき) すりくき(研茎) 髄茎
ずいと すいと
ずいぶん(随分) 漢語
鈴 鈴音の繰り返し すずしい
錫 すずなまり(清鉛) 薄墨色
鱸 進む すすぐ
涼しい すがすみ(清澄)し さやさや
スズシロ スズナ 鈴花菜
雀 鳴声の繰り返し
硯 墨磨り
ずっこける 擦りこける
ずっしり すっしり
ずっと すっと
ずば抜ける すっぱり
ずばり すっぱり
ずぶの ずぶずぶ
ずぶずぶ すっぽり
ずぶぬれ ずぶずぶ
ずぼら ずぶずぶ
ずらす 擦る
ずらり すらり
ずり落ちる 擦る
〜ずる(動詞) 動詞 する
ずるい スルスル
ずるずる 擦る
ずれる ず(擦)る す(擦)る
ずんぐり すっく
ずんずん スーッと すいすい ずいと 
たたずむ 立ち住む
鼠 根住み
筈 端末
引きずる 擦る
ミミズ 目見ず
むずむず うずうず 蛆
百舌 −す[鳥の意]
行きずり 行き擦り
柚子 −酢


 五十音順版


© 「歴史的仮名遣教室」 2005-

(語源説については小学館「日本国語大辞典(第二版)」に負ふところが大きい。)


手引き 法則 総合辞書 字音仮名遣表 例外動詞 原理 歴史 補講 練習



戻る

完全版とびら

サイト内検索

総目次